うつ病は、一言で説明するのはたいへん難しい病気ですが、体がだるく疲れやすい、くびすじや肩がこって仕方がない、朝のうち特に無気力、のどの奥に物がつかえている感じ、仕事の能率が上がらず何をするにもおっくうなどなど身体的な自覚症状を伴うこと病気です。
仕事・家事・勉強など本来の社会的機能がうまく働かなくなり、また人との交際や趣味など日常生活全般にも支障を来すようになります。
うつ病の漢方的考え方
中医学では「鬱病」の事を「鬱証」と言います。「鬱証」は、精神的抑圧から精神のバランスが崩れその影響で体内の「気」の流れがスムーズに流れなくなってしまい鬱々とした気分が続いている状態と考えます。「鬱証」の起こるメカニズムは複雑ですが、最も重要なのは肝・脾・心の三臓の損傷と気血失調です。鬱症の発生初期と慢性期にタイプが分けられます。
○肝気鬱結タイプには「加味逍遥散」
情緒不安定・怒りっぽい・脇や胸の張痛・生理不順・ゲップ・ため息・イライラ方に「肝」を整え、鬱状態を解き放つ目的の治療をします。
○気鬱化火タイプには「竜胆瀉肝湯」
すぐにかっとなって怒る・眩暈・耳鳴り・頭痛・目が赤い方に「肝を清めて」燃え上がっている火を鎮めます。
○気滞痰鬱タイプには「半夏厚朴湯」・「温胆湯」
喉の中に異物感があり、 「理気化痰」と言って気の流れを調整して気の力で痰を取り除かせます。
○憂鬱傷脾タイプには「甘麦大棗湯」
落ち着かずいてもたっても居られない感じ・喜怒哀楽が激しい・不眠・あくびの方に「養心安神」と言って心を養してリラックスさせる目的の治療をいたします。
○心脾両虚タイプには「帰脾湯」
浮腫・倦怠・話すのが億劫・食欲不振・汗をかきやすい・軽度の腹部の張りや痛み・軟便・息切れの方に「健脾養心」・「益気補血」前者は脾を建て直して心を養する治療です。
○陰虚火旺タイプには「六味丸」
眩暈・動悸・入眠困難・怒りっぽい・生理不順などの方に「滋陰清熱」といって陰液を補して熱を下げます。